パラレルキャリア 新しい働き方の実践者

roots&vision_eyecatch

このエントリーをはてなブックマークに追加


Roots&Visionでは、働く意味や仕事へのやりがいを多様な角度から考えて頂けるように、業種業界を問わず身近な方を対象にインタビューをしています。変化の激しい現代においては、組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなっています。会社に依存して生きていこうにも、会社そのものがいつまで続くのかわからなくなっています。そのような中、テクノロジーの進化と働く人々の価値観の変化によって、「働き方」の多様性も広がりつつあります。この特集では、昨今話題となっているパラレルキャリアについて掘り下げています。是非ご自身のキャリアを見つめ直しパラレルキャリアについて考えて頂く機会としていただけると幸いです。

※本特集は2015年11月に作成し特集としたものです。
編集者:Roots&Vision 古川

パラレルキャリアとは

「パラレルキャリア」とは、経営学者のピーター・ドラッカーが著書『明日を支配するもの』などで提唱した考え方です。企業の寿命よりも、個人の寿命が延びた現代において、個人は一つの組織に依存して同じ仕事を続けるだけでなく、それとは別の「第二のキャリア」にも時間や労力の一部を費やすことで新しい世界を切り開くべきだと、ドラッカーは述べています。

パラレルキャリアをシンプルに言うと、現役のビジネスマンが、本業を続けながら、同時にそれ以外のことにチャレンジするということと言えます。例えば、土日に地域ボランティアに参加する、自分の趣味に関連するセミナーを開催する、興味関心のあるNPOに参画するなどが典型的と言えるでしょう。ともすると「副業」と同じではないか、と思われるかもしれませんが、副業よりももう少し大きな概念です。副業ですと、主な目的は「報酬」ですが、パラレルキャリアでは、目的が報酬だけではないからです。自身のスキル向上や使命と感じられるような活動に取り組むのもパラレルキャリアに含まれます。

パラレルキャリアが注目される背景とは

産業構造の変化、グローバル化の促進、少子高齢化時代の突入等、現代は激変の時代であり、今や終身雇用制が形骸化していることはみなさんもお感じだと思います。そのような時代において、一生涯、一つの仕事だけに従事するということは、ほぼありえなく、一度身につけたスキルが陳腐化した後は、新しい能力開発を積極的に行っていく必要があります。つまり、体と頭が元気である限り、生涯現役の気持ちを持ち、何らかの仕事・活動を続けていく時代になっていくことが予想されます。

そのような時代では、当然ながら仕事における価値観も変化していきます。働くことの価値観が、単純に報酬が得られれば良い、高い報酬を得たいといったものから、いかに自分を磨き高め、心を幸福にし、社会に貢献できるかという軸へとシフトいきます。むしろ働く目的を「生活するため」としてしか捉えないというのは、一つの仕事に固執してしまうことにもつながるため、リスクヘッジの観点からも危険な状態とも言えます。より幅広い仕事に携わることで、自分の能力開発のみならず、社会に貢献できている実感が高まり、心も豊かになっていくため、パラレルキャリアが注目されていると言えるでしょう。

パラレルキャリアの実践者達

Roots&Visionでは多くのパラレルキャリアを実践している方をインタビューしてきていますので、その一部をご紹介いたします。

鈴木さん

株式会社すららネット NPO法人パフォーマンスバンク 鈴木浩之様インタビュー

すららネットでの業務に加え、昨年度からパフォーマンスバンクというNPOを立ち上げました。吹奏楽の活動をする中で、吹奏楽を聴きたい高齢者施設は沢山あること、更に演奏する機会が欲しいアマチュアバンドは沢山存在することに気づきました。その両者をマッチングすることをパフォーマンスバンクでは行っています。全国の高齢者施設に音楽を届けることで高齢者施設での笑顔を日常にしたいと思っています。これも先ほど述べた志と直結する活動です。幸いなことに、既に実績も生まれており企業からの寄付も少しずつですが得られています。

8nDZSl

シスコシステムズ合同会社 NPO法人GRA 平松憲治様インタビュー

入学前に3月に東日本大震災が起きましたが、翌月4月に、グロービス学友の現GRA代表の故郷の宮城県山元町でボランティア活動を行いました。それがGRAとしての初めての活動です。被災地でのボランティア活動を通じて、自分の中に、ソーシャル活動という「社会的価値」という行動軸が生まれました。NPOでは、「10年100社10000人の雇用機会を創出する」というビジョンのもと、いちご農家さんの支援や中学生のこころざし塾でのキャリアプランを考える授業、ツアー等のイベント開催などを通じて、しごとづくり、ひとづくり、まちづくりに少しでも役に立ちたいと、仲間と一緒に継続的に活動をしてきました。

鈴木浩之様と平松憲治様は、興味関心のあるNPOに参画しパラレルキャリアを実践しています。次に自分のスキルを活用したパラレルキャリアの実践方法を熊野整様の例でご紹介します。

熊野様インタビュー
スマートニュース株式会社 熊野整様インタビュー

エムスリーの仕事と並行し、週末起業として個人的な事業もはじめました。自分でアプリも作成しました。いわゆるグルメアプリなのですが、結果的には大赤字。やはりサービスを広めていくためには広告が重要で、その原資となるのは売上であり、まず初期段階で一気に売上を上げる必要があるということを学びました。その後、自分で開発できるか開発の必要がないものを検討していった結果辿り着いたのが「エクセルセミナー」です。まず無料でセミナーを開催し、終了後に参加者に「いくらなら払いますか」とアンケートを実施し、その結果をもとに受講料を設定。現在、1回3000円の有料セミナーとして展開し多くの参加者を集めています。

これまではパラレルキャリアと聞くと、どうしても言葉の影響から「並行」というイメージを強く持っていましたが、多くのパラレルキャリア実践者とのインタビューを通して、そのイメージが覆りました。パラレルキャリアを通じて、普段接しない人との出会いがあり、それにより視野が広がる、普段と違う業務を行うことで能力開発の機会がある、リーダーシップを鍛えることが出来る等、本業と社会活動は別々のものではなく、相互が関連しあい、良い影響を与えることこそがパラレルキャリアの本質ではないかと感じました。
ぜひ、興味関心や自身のスキルを趣味や業務だけに留めずパラレルキャリアという形で実践してみてはいかがでしょうか。