ベンチャー・中小企業に転職

コーチングで独立。挑戦していく人々に伴走したい。ありたい姿は「全機現」

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新卒で営業職に就いたのちに、現在はコーチング等、人材育成を手がける会社で独立した高橋さん。彼の生き方は、いつも自らに正直で、逃げも弱さもあえて否定しません。あくまで自分を中心に考えていると言う彼が、対照的にも感じられるコーチングというキャリアを選んだ理由、そして今目指すあり方について聞いてきました。

自分を鍛える修業

私が新卒で初めて入社したのは、P&G Japan。ヘアケア製品、化粧品、洗剤、衛生用品などの日用消費材の製造を行っている会社です。入社したきっかけは、就職活動を意識し始めた大学3年生の時、友人に「私に合っているのではないか」と、この会社を紹介されたことでした。

もともと「人」というテーマに興味があり、いつかは人材育成に携わりたいと思っていました。ただ、「他人様の育成の前にまずは自分自身を鍛えるべし」という思いが強く、人材育成に定評のある当社を選びました。実際、入社してみるとチャレンジする環境や研修制度がしっかりしており、1年目から(良い意味で)1年目として扱われませんでした。目標のみを伝えられ、白紙の状態から逆算して計画を自ら立てなければならない状況ですとか、同業他社の10年目の方々と同じような仕事を、新入社員のであってもチャレンジできるといったものです。

私が学生時代から思い描いていたのは、会社や年収といったブランドでなく、いわゆる「“裸”の状態でもカッコいい自分」でした。就職活動時には各業界の中でトップといわれるような会社の方々にもお会いし、その中でP&Gの人材が一番自分の心を躍らせてくれたことが、決め手となりました。

結果、営業職として職種採用され、最初の約1年半は群馬県と埼玉県の地域全体を見る担当となりました。これは実際の現場である小売店に赴き陳列や企画を提案する仕事で、その地域唯一の担当者である私は、1日200㎞以上を車で巡り20店舗以上に対して分散して営業をしていました。

自分で自分を管理し計画通りに仕事を運ばなければいけない中で、店舗側に拒絶されることが続くと、時に「自分はいったい何をやっているのだろう?」と考え込んでしまうこともありました。決められた枠がない自由な社風が無駄に考える時間をつくらせてしまっていたのかもしれません。また、そのような時に上手に人に頼れない不器用さも問題だったと思います。

その後に、名古屋に転勤となり今度はある大手法人ひとつにしぼって現場の知識や経験をもとに全国規模の企画を展開していくようになりましたが、1年程で、結局逃げるようなかたちで退社することとなりました。ちなみに入社した時から、「いつか自分で会社をつくる」ということは思っていました。その上で「いつまでこの会社にいるかは、分からない」という気持ちで働いていたのですが…いま思うと、会社からお給料をもらっているにも関わらず、なめてますよね。

今振り返ると、その時その瞬間の自らの役割や仕事にフォーカスするのでなく、「遠い未来」とか「いつか」のような逃げ道を持っていた という感じでしょうか。

「働くことの喜び」との出逢い

次に転職したのは、Japan Business Labという人材育成系の会社でした。私は学生の頃から「コーチング」という職とスキルに興味があり、転職活動は「教育」や「コーチング」の会社を軸に行っていました。結果として採用して頂いたこの会社のミッションとその事業は、自分のやりたかったことにとても近かったと思います。

運営するスクールの一つに、語学、すなわち英語において受講生のTOEICやTOFELのスコアなどを目標値に到達させるというものがありました。2ヶ月で大幅なスコアアップを目的とし、逆算的に考え、この1週間ではどこまで到達すべきか、そのためには何を学ぶべきかということをコーチとして伴走していく仕事です。英語をはじめ、語学というのはスタートからゴールまでの道のりが見えにくく、習得するのに時間がかかるものだと一般的にはいわれています。

この習得における要素と道のりを可視化し、ゴールは期限を設定する。そしてそのゴールまでのPDCA(Plan→Do→Check→Action)サイクルを速く回すことで達成までの時間を短縮化するよう試みていました。スクールの特徴として、少数精鋭の集団授業を行うことで、課題から逃げにくい環境も作られていました。

私がこの時大事にしていたのは、「想いを大切にする」ということです。スポーツでもどのようなことでも、何かを成していくにあたり、「心技体」なるものが必要だとした時に、やはり始まりは「心」なのではないかと。たとえば英語の単語暗記法なんて、この世にはごまんとあります。その内どの「技」が絶対に良いのではなく、どれでもいいからまずひとつを究めれば単語はマスターできるものだと私は考えています。結局そのひとつを究めるかどうかとを決めること、覚悟を持てるかどうかは、その本人の「心」だと思うのです。

ここでの仕事は、授業はまるで1つの劇のようで、教室は切り取られた空間のようなものでした。「働くことが喜びだ」ということを体感させてもらえたのは、間違いなくこの職場を通じてです。また、あらゆる想いを抱く人々が、それぞれの「ありたい姿」へと挑戦し成長や変化をしていく過程を共に過ごすことは、本当にとても尊く、人は素晴らしいものだということを教えてくれたのも、この仕事を通じてでした。「意志あるところに道がある」という言葉を実際に肌で体験したのです。

一方、やり甲斐と同時に感じていた別のこともあります。まずひとつは英語に関して、私は7歳から12歳までアメリカに住んでいた帰国子女であったため、生徒とは立場が異なった事。そこに一種の「埋められない、距離」のようなものを感じていました。もうひとつは、やはり組織に所属する以上、自分のやりたいようにすべてをやることはできないということ。とエラそうに言いながらも、何をやりたいかははっきりと決まっていなかったのですが、やはり独立して100%自分のやり方でコーチングをしていきたいという想いがありました。

コーチングで独立。ひとりでも多くの人と共に、「全機現」を

コーチングというものは大切だしすばらしいものだとは思っています。人の成長への強い関心があります。ただ、他者へのコーチをしながら改めて感じていることとしては、自分自身が育つことへの関心がとにかく強いということです。コーチングというのは、伴走していくことなのですが、その成長の過程において何が起きるかを共に体験していくことが、結果的に全て私の財産になっていくんですね。人の人生を、共に生きる事が出来るというような感覚です。

自分と異なった価値観を持つ人と触れ合うのは本当に興味深いです。また、可能性に対しての挑戦をする人々と、その道のりを共にできることが何よりも尊いと感じています。

コーチングに限らず人材育成に関心を持った背景には、20歳の時に病を患ったことがあります。もともと風邪ひとつひかないような健康体だったのですが、20歳で一生治らない、ずっと強い薬を飲み続けなければいけない病にかかりました。薬の副作用で心身ともにぼろぼろになったのですが、その時、死のうとかこれでもう終わりだとは一切思わなかった。

むしろ今ここで立ち直ったらやっていけるなと思って、ある意味の開き直りなのですが、笑ってみた。そうしたら笑えてきて、ああ自分、まだいけるじゃん、と思った時、世界がぱーん!と開けたんです。人って、意識や物事を見たり捉えたりする視点をちょっと変えるだけでこれだけ変わることができるなら、無理だとか不可能なことなんてありえないと実感しました。

そういった、私の中では「普遍的な価値」なるものを発信できる人間になりたいと思うようになって、「政治家になるか、学校をつくるか」という夢がその時にできました。それが、人の育成に興味を持ち、今の仕事をすることになったきっかけだと思います。

このような想いのもと、起ち上げたのが現在の会社、Central Figureです。ここでは個人法人問わずにコーチングをベースとしたサービスを展開しております。個人に対してはたとえば事業主やセールスマンなど、結果を出し続けなきゃいけない人に方法というよりもあなたの目的は何なのか、というものを問う形でコーチをしています。

スポーツコーチのビジネス版と考えると分かりやすいかもしれません。法人に対しては、チーム単位に対してのコーチングを行うことが多いです。社内会議のファシリテーターをすることが多く、その時に使われるツールとしては“すごい会議”というものがあります。このような会議を通じて、人材育成を目指しています。昔から考えていた独立ではありましたが、独立してから思い知ったのは今まで自分1人で生きてきたわけではなかったのだなということです。

サービスを提供してお金を頂戴することの難しさや、人と人の信頼関係の大切さも実感しました。ここまで何も知らなかったんだな と。何もかも綱渡りという感じです。本当に独立する前の自分に会えたら「舐めてんじゃねえよ」と言いたいくらい(笑)。

ただ、一生懸命やっていたらどうにかなると信じてやっていくしかないですね。禅の言葉で、道元先生の唱えた「全機現」というものがあります。これは人や組織が持っている力をすべて発揮することで活き活きと生きるというものらしいのですが、まさに私自身そして他者と共に生きたい人生が、これだなと感じています。それぞれの人には素晴らしい個性があり、それぞれにとっての喜びや豊かな生き方というものがある。

本人の自力でそれを生きることできたら素晴らしいですし、それが難しい人に対しては、なにか出来る手助けをしたいと考えています。結局のところ、私は自分にベクトルが向いているのですが、自分が「こうありたい」と思うあり方は、他者に対しても「それがいいんじゃないか?」って提供したいと思うのです。そういう意味では教える必要はなく、ただ背中で語るだけでも十分なのかもしれないですね。

高橋 佑樹 (29)
経歴:

23歳 プロクター&ギャンブル社に入社。営業に従事

26歳 人材育成会社のジャパンビジネスラボに入社。英語のコーチとして活躍

28歳 独立


充実度

充実度: 61点

業務上で成長実感やマンネリを引き起こす要因である6軸18項目を点数化した数値です。
インタビューイー様のキャリアの分岐点で、
その選択がどのような心理的な変化を産んだのかを点数化しております。

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