やりたい仕事へのチャレンジ

囲碁で培った大局観でニッチ業界のモデルケースを目指す

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若い世代やビジネスマン世代の囲碁人口の開拓を目指す、IGOホールディングス株式会社でCFOを務める井桁さん。学生時代に出会った囲碁が井桁さんを突き動かした理由とは。囲碁業界と同時に、ニッチ業界の火付け役を担わんとする、24歳の若きトップランナーのキャリアビジョンをお伺いしました。

大学で囲碁部に入部、固定化された価値観が崩壊した

田舎の進学校に通っていて、「浪人なんて有り得ない」という価値観を自然に持っていました。ストレート、現役で進学するのが当たり前の世界でした。しかし、志望していた大学には届かず大学受験の失敗を経験しました。

それでもなんとか大学に入学し、囲碁部に入部しました。とある碁漫画の世界に憧れてという、はじまりは単純なものでしたが、囲碁部に入ってその多様性に驚きました。浪人している人は珍しくなく、中には専門学校を1回卒業してから大学生になっている人もいて、25歳の先輩とも一緒に活動しました。今までの固定観念が崩壊していくような多様性を持った部でした。

囲碁は、向上心をもって取り組めば取り組むほど面白いものです。実力が上がるにつれて同じ戦局でも見方が変わり、世界観が変わっていくのです。対局を通してはもちろんのこと、詰碁という問題集を解いたり、棋譜というプロの一局を碁盤に並べて感覚を磨いたりといったように、熱心に勉強しました。

部の代表も務め、4年生になって初のレギュラー入りを果たしました。大会はいくつかあるのですが、団体戦では1部リーグから5部リーグまであり、入部したころは5部リーグ止まりでした。しかし4年生で出場した団体戦で、不動の1部リーグに昇格できたことはとても嬉しかったです。大学生活のほとんどは囲碁の活動だったので、すごく達成感を感じました。

「あらゆることを考える」ことが当たり前になる。無意識レベルでの大局観

大局観とは、俯瞰的に盤面や物事を捉えるということですが、囲碁をやっていると、ほぼ無意識的にこの大局観が身に付きます。

大学時代はほぼ趣味としてやっていたのでなおのこと気付きませんでしたが、本人が気付かない無意識レベルで、当たり前のように「あらゆることを考える」能力を習得します。囲碁をやることで日常生活レベルから変わるという例のひとつです。

「どこに打っても一局」。変化や立場への適応力

「ここに打ったら、この碁石を輝かせるためにそのあとの動きを変えていく」という意味で、「どこに打っても一局」という言葉があります。下手を打ってしまっても、いかにその状況を輝く一手に変貌させるか、その後の努力や自分の行動がものを言います。

これが就活時の就職観でしたので、特に業界や企業は絞りませんでした。しかし、未開拓の事柄に関与したいという気持ちはあったので、関西圏では開拓が進んでいなかった大手食品メーカーに就職し、大手スーパー担当の営業をしました。

具体的には自社商品を店頭に並べてもらうために大手スーパーの本部と交渉するといった内容でしたが、なかなか思い通りにいかず、もどかしいこともありました。

囲碁をやめようと思った

食品メーカーで営業として働いていた時、土日は碁会所というところに行って囲碁を打ちました。けれど、碁会所で囲碁を打つ人はお年寄りが中心で、ここで初めて社会に出たことによる自分の囲碁の環境が変わったことに気が付きました。大学時代は、同年代の、若い碁打ちがいるのが当たり前で、熱心に勉強をして高め合いました。

けれど、碁会所では打ち終わった後に敗因の検討をしたり、振り返って勉強をしたりということはありませんでした。環境の変化と熱量の差に愕然として、このまま碁を続けても向上しないと感じ、本気で囲碁を辞めようと思った時期もありました。

しかし、ちょうどそのころ囲碁をやっている若い仲間3人との出会いがありました。その仲間たちは自分とまったく同じ境遇と心境を持っていました。囲碁をやる人口は減少傾向ですし、更に現在の囲碁をやる人口は高齢者がほとんどを占めており、非常に偏ったものになっています。

その中で、同じ志を持つ者が集まり、自分たちの周囲レベルから囲碁をやる人口を開拓していこうというモチベーションができました。「朝囲碁」という、出勤前や登校前の時間を使って囲碁をするという活動もしました。訪れる人は意外にも初心者の人が多く、今まで関心は持っていたものの、周りにその環境がない、人がいない、という境遇の人たちがほとんどでした。

こうして囲碁の活動を続けるうちに、食品業界で感じた壁の存在も相まって、再び囲碁界への気持ちが大きくなっていきました。

囲碁で生活できたら、どんな事業でも食べていけるんじゃないか

最初は、会社をやるつもりはありませんでした。しかし、土日のみに囲碁をするのではなく、平日も活動すれば自分たちの目標へのスピードが何倍にもなると思い、そのスピード感に懸けた部分はあります。

また、「ニッチ産業であり人口も少なくなっている囲碁で生活できるなら、どんな事業でも食べていけるんじゃないか」と思い、今回の囲碁のビジネスの成功がモデルケースとなって、ほかの最初の一歩踏み出せないでいるニッチの分野の人たちへの追い風となりたい、とも考えました。

現在の事業はまだ2015年5月に立ち上げたばかりですが、囲碁イベントの企画運営に加え、子ども囲碁教室、オンライン囲碁サロンの運営なども手がけています。草の根的な活動も多いですが、将来的には囲碁をやる人口が今まで以上に拡大していき、囲碁が相撲と並ぶ国技になるように持っていきたいと思っています。

ニッチ産業を立ち上げるって、成功するかしないかの不安が大きいと思うのですが、そのためのシステムづくりをして、プロジェクトを成功させて、ニッチ業界の自信に繋がることを期待しています。

「囲碁界のホールディングス」に

囲碁は正直今、注目を浴びているとは言えません。

「難しい」というイメージが先行してしまっているのですが、ルール自体は将棋より囲碁のほうが少ないのです。囲碁の魅力をより掘り下げると、戦略的・俯瞰的な思考法が、「トライとエラーの繰り返し」により体に染みつくのです。

思考法自体を学ぶことは、自己啓発本でもできます。しかし、思考レベルではその思考法が「当たり前」になって、さらに「いかに実践するか」の段階を繰り返せるということが囲碁の魅力です。

現在、囲碁界ではビジネスマン、若い人向けへの普及活動が足りていないというのが事実です。そうした「穴」も埋めつつ、囲碁人口の開拓と囲碁の魅力の普及を行い、ゆくゆくは囲碁業界を担う存在になりたい、そんな志を込めて、社名をIGOホールディングスとしました。

これからはさらに行動スピードを上げていきたいと思っています。

井桁健太 (24)
経歴:

22歳 シマダヤで営業として従事

24歳 フリーランスとして独立

24歳 IGO ホールディングス取締役に就任

 


充実度

充実度: 85点

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インタビューイー様のキャリアの分岐点で、
その選択がどのような心理的な変化を産んだのかを点数化しております。

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