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教育ベンチャーと音楽NPOで、恵まれない境遇にいる人にも平等な機会を

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教育ベンチャー企業「株式会社すららネット」でITシステムを統括している鈴木さん。「恵まれない境遇にいる人にも平等な機会を提供したい」という志のもと教育系ベンチャー企業での勤務に加え、音楽を主とするNPO「パフォーマンスバンク」の運営にも携わっています。そのような志に至る背景にはどのような体験があったのか、志実現に向けてどのようなことに取り組んでいるのか、お話を伺いました。

学校教育で育まれたリーダーシップ

東京で生まれ、親の職業も安定していたりと恵まれた環境で育ちました。小中学校は地元の裕福な生徒が集まる学校に通いましたが、当時から私は背が高かったからか目立つ存在であったため、「学級委員やってみなよ」、「生徒会長やってみなよ」と言われることが多々ありました。みんなそういった面倒は避けがちだと思うのですが、自分としてはいい機会だと捉えて色々とチャレンジしましたね。ただでさえ目立つ存在であったことに加え目立ちたがりなタイプでもあったので、この機会を逃す手はないな、と。

そうして学級委員や生徒会長になったときは、なにかある毎に人前で話す機会を作ったり、会報を作って配布したりしていました。色々な苦労もありましたが、今でもこの経験は自分に活きていると思います。小学校の時は学級委員という比較的小さな単位でのリーダーシップを発揮する経験でしたが、中学校では生徒会長になり300人という人数を自分がまとめる立場です。どうやって周りをまとめていくのか、どうやって自分の意見を伝えていくのか、人や集団を動かす難しさを感じながらも楽しんで取り組みました。持論ですがリーダーシップの力ってどれだけ実践の場数を踏むかで磨かれると思っています。そういった意味で小学校教育からそのような機会を経験できたことは幸運だと今でも思っています。

学校行事に加えて、中学では柔道部に所属していて都大会ベスト8くらいまで行きました。勉強も人よりできるほうだったので、学校行事、クラブ活動、勉強全てに充実していました。正直なんでもある程度できる自分に少し自信過剰になっていたかもしれません。

高校教育・大学教育時代にのめり込んだ吹奏楽

ところが高校に入って直後そのような充実感はなくなりました。大学受験をしたくないという安易な理由から早稲田実業に入学しました。ただ、既に中学からエスカレーターであがってきた人達でコミュニティができていたため、あまり馴染めなかったですし、大学受験もしないからか失礼ながら先生方にも強い教育への想いは感じませんでした。

そんな時吹奏楽部に出会いました。中学生の時柔道はしていましたが、元々人と争うことが嫌いだったのです。柔道はどちらかというと勝ち負けを明確につけるもの。それなりに強くはなれましたが、高校でも続けられるほど好きにはなれなかったのです。吹奏楽部を選んだのは、音楽は純粋に音楽を突き詰める楽しさがありますし、あくまで自分の技術向上といったような自分との戦いが中心です。また、元々小学校の時エレクトーンをやっていたので楽譜は読めたことも関係していたと思います。

高校で出会った吹奏楽は高校・大学時代中ずっとのめり込み、社会人となったいまでも続けています。自分の上達を感じられる楽しさはもちろんですが、チームで演奏する一体感は言葉では表現できないほどの興奮があります。また、音楽を演奏し喜んでくれる人がいることも、今でも演奏を続けていられる理由の一つです。高校の時、養護学校に演奏しに行く機会がありました。そこには自分達の発表を間近で聴いてくれて、感情をむき出しにして喜んでくれる方たちがいました。音楽が持つ力を心から感じた瞬間です。

大学でも高校時代よりも一段と吹奏楽に力を入れていましたが、就職活動の時期も同時に近づいてきました。音楽で食べていこうとは考えていなかったですし、商学部であったため簿記2級の資格を取得していたので、会計事務所、税理士事務所等を中心に当初は就職活動をしていました。

現場で本当に使われるシステムを

ところが、会計事務所、税理士事務所の方々とお話しても、どこか狭い世界で生きている人達だなという印象が強く他の道を模索し始めました。兄がIT系に就職していたことやこれからはITの時代になると感じていたので、IT業界であり、自分が勉強した会計の知識が活かせる世界、すなわち会計ソフト等を扱う会社に興味を抱きました。そしてオービックビジネスコンサルタントという会社に内定をもらい入社しました。

入社後は販売管理や在庫管理ソフトの開発に携わりました。プログラミング等の知らない知識を学ぶこと自体楽しかったですし、研修や教育が充実していて知識の浅い自分には有り難かったです。

しかし、実際に自分達が開発してお客様にも売れているサービスが自社の現場では使われていませんでした。そこで現場の人に会い足りない機能等をヒヤリングし、開発チームにフィードバックしたのですが、「特定の顧客に合わせるカスタマイズをした瞬間にパッケージソフトではなくなる」という一点張り。そこで現場で本当に使われるもの作りたいという気持ちが芽生え、丁度会社として立ち上げる部門であった社内システム部門への異動を決意しました。

異動後は、プログラミング以外のスキルを身に付けるためにITコーディネーターという資格を取るべく、社外の人とも交流のある研修を受けさせてもらえる機会がありました。その時、社外の人との交流で、いかに自分自身の知識や視野が狭くなっているかを痛感させられました。プログラミングに加え、システム全般の知識が身に付いたりと自分自身の成長も実感していましたが、まだまだだなと。社内システム部門では自分自身の能力不足も感じましたが、5年かけて色々なシステムを導入することができた非常に充実した期間でした。

成長への不安と教育ベンチャーへの決断

更なる自分自身の成長のため経営大学院に通い始めたのですが、経営の定石を学べば学ぶほど、自社の課題もより深く見えてきて本当にここに留まることが自分にとって一番成長できる環境なのかを自問しました。また、会社の方針も中小企業のサポートよりも大企業との取引を増やしていく等変わってきました。既に大きな企業の支援をすることに自分自身あまり情熱が持てなくなっていたのです。

経営大学院では志について考える機会も多いため、もやもやと悩む時期は続きましたが、偉人の本や一歩先を踏み出している先輩の話を聞きながら「自分が本当にしたいことは何か」を考え逃げませんでした。

そしてその結果芽生えた志が「恵まれない境遇にいる人にも平等な機会を提供する」というものです。冒頭でもお伝えしましたが、何不自由なく恵まれた環境で育ってきた自分がなぜそのような考えに至ったのかと不思議に思われるかもしれません。ですが、社会人になってからも続けていた吹奏楽の演奏を老人ホームで行う機会をいただいた時、自分達の演奏をとても喜んで聴いてくれる高齢者の方々に触れる中で、「演奏を喜んでくれるのはとても嬉しい。でも、僕たちの演奏がない日常でも今のような笑顔が毎日溢れるようにしたい」という気持ちを抱くようになりました。音楽という手法にとらわれず、恵まれない境遇にいる人にも平等な機会を提供したいという志が芽生えた瞬間です。

そんな時、大学院の求人掲示板に紹介されていたすららネットという教育ベンチャー会社の存在を知りました。テクノロジーを活用し”新しい教育の手法で生徒の成績向上を実現させる”まさに私の志と重なっていました。更に求めているポジションが社内IT部門であったため、これまでの経験が活かせることもぴったりでした。

教育ベンチャーと音楽NPOで恵まれない境遇にいる人にも平等な機会を

今は前述の教育ベンチャー企業である、すららネットのITシステム統括として、ITシステム全体の設計やプロジェクトマネジメントを中心に行っています。すららネットでは、学校や塾に向けて新しい教育の形として、IT技術を使いEラーニングの仕組みを提供しています。自分自身が開発に携わったものが、実際に学校や塾で使われ、生徒からの反応がすぐに直接返ってきます。弊社のITシステムを導入したことで、「以前よりも成績があがった」などの意見をいただけると、教育に携わる者として本当に嬉しいですね。

また、ベンチャーであるがゆえに、前職よりも組織としてのスピード感が圧倒的に速く大手にいた私にはとても魅力的です。提案した内容がすぐに承認、実行されていくため、主体性があればどんどんチャレンジできる環境です。一方、自分がIT責任者であるため、しっかりとITの最新知識やノウハウを知っておかないといけないという緊張感も常に感じています。前職の経験はもちろん活かせますが、ITベンチャーは、変化の激しい分野なので常に学んでいなければ知識は陳腐化していきます。ここしばらくは経営学の勉強の比重が大きかったのですが、これからはITのインプットに努めていきたいと思っています。

また、教育ベンチャーのすららネットでの業務に加え、昨年度からパフォーマンスバンクという音楽NPOを立ち上げました。吹奏楽の活動をする中で、吹奏楽を聴きたい高齢者施設は沢山あること、更に演奏する機会が欲しいアマチュアバンドは沢山存在することに気づきました。その両者をマッチングすることをパフォーマンスバンクでは行っています。全国の高齢者施設に音楽を届けることで高齢者施設での笑顔を日常にしたいと思っています。これも先ほど述べた志と直結する活動です。幸いなことに、既に実績も生まれており企業からの寄付も少しずつですが得られています。この活動もベンチャー企業同様のスピード感を持って動いていきたいと思います。

今後の展望としては、すららネットにおいてはベンチャー企業のIT責任者としての知識をしっかりと身につけた上で、教育を進化させるようなサービスをつくり上げていきたいと考えています。そして、まだまだベンチャーではありますが、IT技術を使いグローバル展開を加速していますので、結果としてグローバルでの教育格差をなくし、教育格差がなくなることで貧困の問題も解決していきたいと思っています。NPOのパフォーマンスバンクにおいては更なる実績を積みながら手伝ってくれているメンバーが一定程度の収入が得られる形まで持っていきたいと思っています。

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鈴木さん
鈴木浩之 (33)
経歴:

早稲田大学卒業後オービックビジネスコンサルタントに入社。

販売管理や在庫管理ソフトの開発を担当後社内システム部門に異動し現場で使われるシステム作りに従事。

MBA取得後、教育系ベンチャーのすららネットにてIT統括を担当。音楽系NPO法人であるパフォーマンスバンク設立し代表に就任。


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