やりたい仕事へのチャレンジ

明確なキャリアプランはなくても、その時その時の真剣な取り組みの積み重ねによって、引き寄せられるチャンスはある

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子どもと一緒にいながらできる仕事をママたちにワークシェアリングしてもらう仕事紹介サイト「ママ職®」を運営する、株式会社Capybaraの山崎恵社長に、起業にいたる軌跡をうかがいました。

専業主婦だった母が離婚後、ビジネスで成功!

父は歯医者、母は専業主婦という家庭に生まれましたが、私が高校生になる前に母が家を出ました。まもなく私も母と和室2間で暮らし始めます。当時母は40歳。ハローワークに行っても仕事がなく、自分で何かやるしかないと思い立ってサプリメントなどの代理店の仕事を始めました。営業経験などまったくなかったので最初は本当に大変そうでしたが、そのうちに母の仕事は大成功を収めます。

医者か歯医者になるのが当然という学歴重視の家庭で育ちましたが、家を出た母が仕事を始めると私の環境も一転します。周りは夢や目標に向かって生きている方ばかり。母が結果を出すために求めた成功哲学の本を、今度は私に薦めるなどということもあって、母と一緒に私も新しい世界と出会い、高校生の頃から「いつかは起業を」と考えるようになっていきます。

自分も大学中退でビジネスの世界へ

その後、上智大学に入ってそれなりに楽しい学生生活でしたが、大学の先に自分の求める未来があるようには感じられず、20歳で母と同じビジネスをするために中退します。大学という道を外れることに関しては、その後に経験することになる転職よりもはるかに大きな決断を要しました。母からも強く反対されて相当悩みましたが、母のブレイクスルーを見ていたせいでしょうか、大学をやめることに怖さはあまりなく、迷い始めてから1ヵ月で中退を決意しました。

結果としてそれで良かったのですが、ただ、母を通じてビジネスに関しての知識はあるつもりで、できると自負していたのに、始めてみたら2、3年は鳴かず飛ばず。しかも母からは手取り足取り教えてもらえるどころか、「実家にいたら甘えるから」と家を追い出される始末。でも20歳そこそこで道を外れたからこそ、何にでもチャレンジできたのだと思います。営業や組織作り、マネージメントを継続的に学ぶうちに、ビジネスも安定してリーダー格になることができました。

その5年の間にある研修を受け始めたのですが、その研修会社からプロジェクトリーダーとして引き抜かれ、今度は人の人生にかかわる研修、コーチングのような仕事に携わることになります。それが最初の転職です。

転職先で経験を積むも出産で退社、子育てに悶々の日々

転職先ではスタッフ総勢10人のうちの一人として、プロジェクトの運営だけでなく営業、経営者付きの仕事まで手がけ、2年間、かなり大変でしたがやりがいはありました。途中、結婚・妊娠して、臨月まで働きました。産休の制度はありましたが、子どもを育てながらできるような仕事ではありませんでしたし、当初、子どもは3歳まで自分で育てようと思っていたので専業主婦になりました。

その後、一度、知り合いに頼まれて、子どもが1歳の時に保育園に預けて働くことにしたのですが、3ヶ月間ずっと毎朝保育園で泣かれるのです。泣かれても振り切って仕事に行くのだけれど胸が痛くて、何のために仕事をしているのだろうと自分を責めたりして、結局、仕事の区切りと下の子の妊娠を機に専業主婦に戻りました。

でも辞めたら辞めたで年子の2人の育児は本当に大変でした。やはり自分は社会とつながっていたい、活躍したいという思いが高じてきます。下の子が1歳のとき、親友が妊娠して、つわりがひどくて退社したものの、おさまると暇なので何かやりたいと言ってきたときに、じゃあ一緒に起業しようか、と。そのときひらめいたのが、子どもと一緒でも仕事ができる場を作るというアイディアでした。

保育園に預けて仕事をするか専業主婦かの二者択一でなく、単に子どもと一緒にいたいママにも、保育園待機だったり子どもが病気で外に出られないなどの事情があるママにも、子どもを預けなくても仕事ができるという自由、選択肢があったら良いな、という発想です。何をやるか組み立ててから起業、ということではなくて、起業を考えてからアイディアが降って来たという感じでしたが、自分は母の仕事をしている姿を見て影響を受けたことが大きくて、だから夢をもって働く母親の姿を子ども達に見せることには意味があると感じていたことが、源流にあると思います。

最初は会社にすることは考えていなかったのですが、職を紹介する仕事なら株式会社にした方がママたちは安心して働けるのではないかと助言があって、法人化しました。私が30歳のときです。起業のための知識は全くなかったものの、営業力や人脈は蓄えてきた自負があるので、何とかなるだろうという思いでした。

子連れママのためのお仕事サイト、発進!

2013年7月に株式会社Capybaraを設立、10月にママ職のホームページをオープンし、サイトからの集客で仕事をしたいママたちが2ヵ月で100人くらい登録してくれました。もうすぐ3年になりますが、登録数も仕事の依頼も順調に増えて、軌道に乗っています。

ママ職の主な事業は在宅のママなどにお仕事を紹介することです。一般のクラウドソーシング・サイトが依頼主と仕事をしたい個人とマッチングの場を提供しているのに対して、私たちは会社に委託された仕事を会員でワークシェアリングするシステムを売りとしています。実は会社が間に入るのは大変で、利益も上げにくいのですが、会社として受託することで依頼主にとっては成果物の一定の質が保証されますし、仕事を受けるママたちにとってはチームで対応するため、たとえば子どもが急病で仕事の時間がとれないといった緊急事態があっても誰かがカバーしてくれる安心感や、仲間とのコミュニケーションで社会とつながっている安心感、また情報交換を通じて最新のスキルに接するというメリットがあります。

実際に扱っている業務としては、HP作成とECサイト商品登録がメインで、あとは事務代行、経理入力代行、アプリ作成などです。

今はおよそ1000人の会員のうち、コンスタントにお仕事をお願いしているのは70〜80人くらいですが、将来的には仕事と会員数、どちらもバランスよく増やすことが目標です。
また子連れで起業しているママたちのメディアを作ることなどを含めて、子連れ仕事のインフラを構築していくのも目標です。

ちなみに会社名Capybaraについてですが、カピバラという動物は親族のメスみんなで子育てをし、子どもが危険にさらされればおとなたちが盾になり敵を威嚇して必死に守るのだそうです。ママ職のママたちも、そんなふうにみんなで子育てができたら、という思いをこめてのネーミングです。

経験の積み重ねがあっての起業、さらに努力を積み重ねての事業継続・拡大

私の場合は起業当時、夫の収入があったので、何としてでも稼がなければいけないという状況ではなかったからチャレンジできた、という部分はあります。ただ、30歳で起業できたのは、20歳からビジネスの世界、それもコールドマーケットで営業力を鍛え、さらに転職先でさまざまな業務に携わって積み重ねてきたものがあるからだと思います。

起業のネタが「ひらめき」だったと言うと、思いつきで起業したように思われるかもしれませんが、20代での経験がまず土台としてあり、起業を決めてからは足りない部分を補うために、人の助けも借りながら必死で動きました。

私にとっては大学を辞めたことも、転職をしたことも、どちらも良い結果につながっています。
ですから誰かに転職の相談をされたとしたら、転職そのものは迷うことはないし、何歳でやってもいいと答えるでしょう。ただし、転職してその先、会社が何とかしてくれるだろうという受け身なら辞めた方が良いと思います。大事なのは、転職後に、それまで以上に努力することです。

私自身はこれまで実は、キャリアプランなどは特に考えずにやってきました。今は、10年後に同じ会社の代表でいて、年商何億というような目標も掲げていますが、基本的にはご縁があってチャンスが引き寄せられてきたらそれに乗る、頑張らなければいけないタイミングと思えば頑張る、出会いを大切にし、その時その時の課題や試練に誠意をもって取り組むというスタンスです。

スティーヴ・ジョブスではありませんが(笑)、振り返ってみたら点と点がつながって線になっていた、という感覚が、私にもあります。転職活動をして受かるならご縁だし、受からなければそれも縁、くらいの柔らかい発想で、新しいことにチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。

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山崎 恵(やまざき・けい) (33)
経歴:

20歳 起業を志て大学中退後起業 マネジメントの必要性を感じ学びだす

25歳 研修先からプロジェクトリーダーとしてスカウトされ転職。人の人生にかかわる研修、コーチングのような仕事に携わる。

27歳 転職後、結婚し臨月まで働き、産休の制度はったが、子どもは3歳まで自分で育てようと思い専業主婦になる。

30歳 株式会社Capybaraを設立、『子連れ在宅ママ・プレママのお仕事サイト ママ職』のホームページをオープンし今に至る


充実度

充実度: 90点

業務上で成長実感やマンネリを引き起こす要因である6軸18項目を点数化した数値です。
インタビューイー様のキャリアの分岐点で、
その選択がどのような心理的な変化を産んだのかを点数化しております。

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