やりたい仕事へのチャレンジ

積み重ねることによって得られるものは、後になってわかる

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JR東日本でエキナカの開発にかかわり、MBA取得後、起業の道へ。エキナカからコワーキング・スペース、そして現在のダイエットアプリと自分の専門の外へ外へとキャリアを広げる鈴木社長に、お話をうかがいました。

JR東日本でエキナカ開発、駅という空間にちょっと楽しい場を

今、2度目に創業した会社で、ダイエット・肥満解消のための外食・中食検索アプリ『Mealthy』を展開していますが、大学の専攻は建築でした。建築畑なら建築家に憧れ、設計事務所やゼネコンへの就職を目指すのがふつうですが、私はクライアントの意向で何か決まったものを作るより、そもそも何を作るか、というところに興味がありました。建物という形ではなく、もっと広く、何か新しいコンセプトを追求したいという思いから、不動産開発というドメインで就職活動を行い、結果的にJR東日本に就職しました。

入社1年目、研修として飲食系の会社に出向し、「食」が身近な分野になっていたことは、今の仕事の背景にあると思います。
その後、エキナカの開発に関わり、多くの人が毎日利用する駅という空間に、ふだんの生活がちょっと楽しくなるような場を設けられたらいいなという思いを込めてきました。ある駅をまるごとどうするかゼロベースで考え、担当者として全体を見られる立場だった頃は、仕事が本当に面白く、気合いを入れて仕事に没頭していました。しかし年次が経つごとにプロジェクトの規模が1桁億ずつ大きくなって、自分が心底没頭していたプロジェクトではなく会社として重要なプロジェクトを担当する頃から、転職してキャリアを変えることを考え始めます。

経営大学院でのビジネスプランからコワーキング・スペース運営開始

JR東日本で仕事のかたわら、勉強して一級建築士の資格をとったのですが、その後はちょっと時間ができたので、グロービス経営大学院で経営の知識を身につけMBAを取得しました。経営大学院に行ったのは、JR東日本で仕事をしていて、建築という一つのスキルだけではプロジェクトを最善の方向に導けないと思ったからです。自分だからこそできたというオリジナルな成果をだすことにこだわりがあり、建築に加えるもう1つの武器として、文系のなかの最高峰のスキルを身につけたいと考えたときに、弁護士や会計士などの士業は強いけれど今から資格取得は大変なので、MBAが良いかなという発想でした。

もとから独立志向はありましたが、グロービスでベンチャーのビジネスプランを作ったことが、最初の起業のきっかけです。JRは結局9年勤めて退社し、2012年、シェアオフィス、今でいうとコワーキング・スペース運営の事業を仲間と2人で創業しました。起業してみて、やりたいことがやれるので楽しくないことはないのですが、ワクワクするかというと少し違ったかもしれません。初めのうちはなぜ自分でこんな作業までしなければいけないの?というような雑用ばかりですし、朝の7時に開店して閉店は23時半だったので、3ヶ月くらいは1人で休憩なし、1日16.5時間店頭にいる日々でした。

売り上げが立ってアルバイトを雇えるようになってから、オープンから閉店までいなければいけない状態は少しずつ解消されましたが、その後もベンチャーで始めたのだから全てのリソースを会社の成長のため、結果を出すためにつぎ込むことは当たり前という感覚でやっていました。店舗の運営は初めてでしたし、売上げをいかに上げるか、どう成長させるかを常に考えながら、これが経営ということだと意識しつつ、モチベーションを保っていたのだと思います。

あるイベントでの出会いからビジネスの「芽」が

当初は10年後に1000店舗に増やすことを目標としていましたが、やがてコワーキング・スペースは思ったほど伸びないという壁にぶつかります。そんななか、集客のために開催したあるイベントで、ダイエットを指導するパーソナルトレーナーや料理研究家など食のプロフェッショナルの方々から食に関するお話をうかがう機会がありました。それがきっかけで、そもそもカラダにいいものって何なのだろうと考え始め、調べてみてもこれは絶対正しいという答えに行き着きません。食の問題がこんなにも難しいのだったら、テクノロジーの力でシンプルにならないのか、と考えたのが、今のビジネスの「芽」です。

自分自身30代半ばを超えていて、この先ずっと健康でいられるのかという問題意識もありました。

さらに調べてみると世界には糖尿病患者が4億弱いて、20年後には6億弱まで増えるというデータもあり、この社会問題が日常の食事に影響を受けているのなら、食による健康管理をビジネスにすることにチャンスがあるのではないか、自分自身も健康管理をやってみたいのでトライしようと思い立ったわけです。

そこでコワーキング・スペースの事業は創業仲間に譲り、準備期間を経て2014年に今の会社を立ち上げました。起業をするなら成長分野でチャレンジすべきだという先輩起業家のアドバイスもあって、まったくの異分野ではありましたが、ITとヘルスケアはこれからはるかに伸びそうだと判断しての、2度目の創業でした。

健康的な外食・中食の検索アプリ『Mealthy』でめざすこと

弊社Mealtyは「健康的」な「外食」を簡単に見つけられる無料アプリ『Mealthy』を配信しています。一般に外食ばかりだと栄養が偏りがちと言われますが、自炊をしなくても、外食・中食だけでも健康的な食事は可能です。食と健康に関する情報は巷にあふれていますが、多くの病気は肥満を解消することで予防できますから、肥満と因果関係がある病気のデパートと言われる糖尿病の予防にフォーカスして、Mealthyでは肥満でない状態を健康と定義しています。

三大栄養素のなかでもタンパク質は意図的に摂らないと不足しがちです。ただタンパク質をしっかり摂ろうとするとカロリーも増える可能性があるので、太らないために低カロリー高タンパクの食事を選択しましょうということをシンプルに提唱しているのですが、そういう食は飲食店でもコンビニでも手に入るわけです。現在はまだ都内のチェーン店メニュー中心ですが、「徒歩5分以内の低カロリーメニューを1タップで見つける」サービスがアプリのメインです。また私自身、外食・中食が頼りで、コンビニでもラベルで成分を確認したりするのですが、それが面倒なことも実感しているので、コンビニなどのテイクアウト商品も紹介しています。

Mealthyの強みとして、今後、3つのかけ算ということを意識しています。1つ目は信用ある研究機関と連携して学術分野の知識をアプリに入れること。実は国立の研究所と契約を締結しています。2つ目は、外食やテイクアウトのメニューのデータベースで日本最大となること。管理栄養士が画像を分析してカロリーや三大栄養素を概算レベルで表す仕組みができているので、国内だけでなくいずれは世界中のメニューをデータベース化します。3つ目は人工知能、機械学習のテクノロジーを使って、その膨大なデータベースから個人のライフスタイルに合った食を適切にリコメンドすること。これらが揃ってこそ、利用者が継続して健康的な食事を見つけていけるはずなので、この3つに私たちはトライしていきます。

泥臭い仕事も含めてとにかく量をこなすこと、その先に次の一歩が見えてくる

今のビジネスを始めて1年と数ヶ月、楽しさも苦しさもあります。ベンチャーの起業は1勝9敗があたりまえ、うまくいくことを前提としていると身が保ちません。一生勉強のつもりでいなければ生き残れないという危機感をもってやっています。
ベンチャーに限りませんが、仕事では誰かが何かをしてくれるということはありません。日々の積み重ねを誰かが見つけてくれることはあるけれど、お膳立てをしてくれることはないので、地味な仕事であっても自分で見つけてとにかく積み重ねる。その先に次の一歩が見えてくるのだと思います。

100時間費やしても無駄だと最初から思い込んでやらない人がいますが、積み重ねることによって得られるものは後からわかるので、何もしないのはもったいないと私は考えています。それからキレイな仕事ばかり求めるのはダメで、泥臭いことも含めてとにかく量をこなすこと。量をこなせばいずれは質に変わっていきます。転職志向の人はとかく指示を出すだけのポジションを求めがちですが、ディレクションの前に現場を知ることは絶対必用ですし、費やした時間は後から生きてきます。上流でやりたいのなら、まずは手前で手を動かして経験を積み、成果を出していなければいけません。そもそもやったことがない人のアドバイスを聞きたいと思えませんし。
私は自分の成長が会社の成長だと信じていますが、成長は投資あってのことです。お金か時間か、何も投資しなければリターンは得られません。

転職も起業もせず今いるところにステイするのはローリスク、ローリターンで、もちろんそれが向く人もたくさんいますが、私自身はとことん自分の能力を高めるためにとてつもない時間を投資してリターンを期待する道を選びました。
同じように転職、起業を考えている人からもしも相談を受けたとするなら、キレイな仕事ばかりではなく地味で泥臭いことも含めて量をこなして積み重ねる、それが自分への投資であり、その先にこそ見えてくるものがありますよ、というメッセージを送りたいと思います。

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鈴木 勝之 (39)
経歴:

26歳 JR東日本入社

35歳 コワーキングスペースで起業

37歳 健康的な外食・中食の検索アプリ『Mealthy』で起業


充実度

充実度: 84点

業務上で成長実感やマンネリを引き起こす要因である6軸18項目を点数化した数値です。
インタビューイー様のキャリアの分岐点で、
その選択がどのような心理的な変化を産んだのかを点数化しております。

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